Introduction お客さま紹介
渡部 洋平さま 株式会社山一地所
代表取締役社長

山一地所さまは、新社屋建設による電力コスト増対策と環境負荷低減を目指してエナリスのオフサイトPPAを導入。東北エリア初の低圧需要拠点を含むオフサイトPPAであり、同時にグループ全拠点の実質再エネ100%化を達成されました。導入の経緯と環境経営の成果について、代表取締役の渡部洋平さまにお話を伺いました。

仙台の地に根を下ろして50年、16年連続No.1という進化へ

株式会社山一地所はどのような会社ですか?

弊社は仙台市を拠点とする総合不動産会社です。住宅の建売販売からスタートし、現在では賃貸管理・斡旋、売買仲介、買取再販、賃貸マンション・アパート建築、相続相談、不動産コンサルティングまで、新築の分譲マンション以外なら不動産のことは大抵お任せいただける体制を整えています。

管理物件は約1万5,000戸、建売住宅や賃貸マンション・アパートの建築実績は1,000棟以上にのぼります。

賃貸仲介の分野ではアパマンショップFCに加盟しており、アパマンショップ泉中央店が16年連続契約件数全国1位(※)を達成しています。仙台市の物件を中心に年間5,000件を超える契約をお手伝いしており、地域の皆さんの住まい探しを支えています。また、転勤に伴うお部屋探しのニーズにお応えするため、法人さまとの提携も強化しております。

※アパマンショップFC加盟店約1,100店舗中、6人以上店舗部門において。

山一地所さまの本社ビル

新社屋建設に伴う電力コストの増加と、打開策となった提案との出会い

エネルギーに関して、どのような課題を持たれていましたか?

弊社は以前から太陽光発電事業に取り組んできました。宮城県内ではソーラーシェアリング(営農型太陽光発電 ※1)を展開し、高齢化が進む農家の方々の収入源の一つとして活用いただいています。東日本大震災の経験もあり、災害時の非常用電源としても活用できる体制を整えてきました。

※1 ソーラーシェアリング:農地の上に太陽光パネルを設置し、農業と発電を同時に行う仕組み

一方で、経営上の大きな課題となったのが、新社屋の建設に伴う電力コストの増加です。

2024年に完成した新社屋は分散していた旧社屋の約2.5倍の床面積。建物のサイズに比例して消費電力も増加し、電力コストは当初の試算を大幅に上回りました。電気料金の高騰は全国的な傾向でもあり、各電力会社の料金も高止まりが続いていたため、コスト削減の限界を感じていました。

そんな中、新社屋の屋上太陽光発電設備を施工してくれた株式会社プロジェクトウサミさんから「電力コストが上がるだろうから、下げる方の施策もちゃんと提案します」と声をかけていただきました。そこからプロジェクトウサミさんを通じてエナリスさんをご紹介いただいたのが、今回の取り組みのきっかけです。

数字で示された効果と、プロに任せる安心感が決め手

エナリスを選ばれた理由を教えてください

エナリスさんを選んだ大きな理由は、再エネの活用手法に加えて、電力コストの削減効果を具体的な数値で示し、明確に裏付けしてくださったことです。納得感のある提案をいただけたことで、「これなら進めるべきだ」と迷わず判断することができました。

また、自社の太陽光発電が生み出した電力を自社拠点で活用できる点に強い魅力を感じました。私たちが思い描いていた「エネルギーの地産地消」という観点からも、今回の取り組みは非常に意義深いものです。

さらに、エナリスさんの担当者が明確な期日を切ってスケジュールを管理してくれたことも、スムーズに進んだ理由の一つです。エネルギー分野に関してはわからないことも多いですが、「ここまでにこれをやりましょう」と具体的に示していただけると、こちらも準備しやすい。やると決めたらすぐに動きたいという弊社の方針ともマッチしていました。

オフサイトPPAという仕組みは、もともとご存知でしたか?

正直に言うと、「オフサイトPPA」という言葉も、「オンサイト」と「オフサイト」の違いも、最初はまったく理解できていませんでした。電力に色がついているわけじゃないので、遠くの発電所の電気がうちに届くってどういうこと?というのが率直な印象です。

ただ、難しいことはすべてエナリスさんがしっかりと説明してくれた上で引き受けてくれるので、弊社としてはこれまで通り電気を使っているだけ。運用開始前から運用開始後まで含めて手間がかかることもないですし、それでいて電気を作る源が再エネに変わっているのです。「プロにお任せして、自分たちは変わらず事業に集中できる」それが一番の安心材料でした。

導入のポイント 低圧需要拠点を含むオフサイトPPA導入の技術的背景

エナリス

今回の山一地所さまへの導入は、低圧需要拠点を含むオフサイトPPAという、国内でも非常に事例の少ない取り組です。通常のオフサイトPPAとは異なる技術的なポイントをご紹介します。

1.需給管理の技術
オフサイトPPAと言うと発電量予測の部分がクローズアップされがちですが、今回のような複数拠点への託送のケースですと、各拠点でどのぐらい太陽光発電からの電力を使用するのかの需要量予測というものも重要になってきます。
これが実現できるのは、需給管理が創業事業のエナリスだからこそです。
 
2.低圧特有のルール
低圧の需要拠点でオフサイトPPAを利用する場合、太陽光由来の電力だけでなく、不足分を補う電力も同一の小売電気事業者から供給する必要があります(全量供給義務)。つまり、太陽光の発電分(今回は全体消費量の約15%)と、残りの通常電力(約85%)をパッケージにして供給する仕組みが求められます。

3.東北初・国内2例目の事例
低圧需要拠点を含むオフサイトPPAは、国内で2例目、東北では初の事例です(※2)。供給後の業務フローの整備も含め、新たなサービスモデルを構築しました。


このように、低圧需要拠点へのオフサイトPPA導入にはいくつかの課題がありますが、今回それが実現できたのは単なる需給管理の技術だけでなく、制度への深い理解と、現場の高いオペレーション力によるものと言えます。

 
※2 2026年3月時点、エナリス調べ

電力コスト1割以上削減、さらに全拠点の実質再エネ100%を実現

導入による具体的な効果を教えてください

導入してまだ数か月ですが、電力コストは従来比で1割以上削減できています。

特にありがたいのは、PPAのkWh単価が固定されている点です。社会情勢やエネルギー環境に左右されず、将来にわたって電気料金を低く抑えられる点は、経営上非常に大きなメリットです。エネルギー自給率の低い日本という国を考えると、ここは特に重要なポイントかと思いますし、電力コストは削減しようにも下げ幅に限界があり、経営課題として意識せざるを得ない費目でした。

同時に、全拠点の電力が実質再エネ100%になりました。仙台市が展開している環境負荷低減企業の認定制度への申請も承認され、対外的に「再エネ100%」と謳える状況が整いました。今後はこれを積極的に発信していきたいと考えています。

社内外からの反響はいかがですか?

正直なところ、社内で「実質再エネ100%」を強く意識している社員はまだ多くはありません。ただ、「いいことをやっているんだろうね」という認識は広がってきていると感じています。

大切なのは、こうした取り組みを通じて削減できたコストを、事業への再投資、地域や社員への還元に回せることです。例えば、弊社は地元のスポーツチームのスポンサーをはじめ、さまざまな地域活動に取り組んでいます。経費を抑えた分を有効に活用する。そういう循環を作れるのは、経営としてもうれしいことですね。

成長を共にする企業とパートナーでありたい

今後のエネルギー活用について、展望を教えてください

具体的に「これだ」と決めたものはまだありませんが、系統用蓄電池には関心を持っています。太陽光で発電した電力は貯めておく場所がないと、使い切れない分が無駄になってしまいます。蓄電池があればその課題も解決できますし、電力の調整にも役立ちます。

世の中に必要とされるものであれば、取り組んでいく意向はあります。まだ調べている段階ですが、地域のためになることであれば積極的に進めていきたいですね。

パートナー企業を選ぶ際に大切にされていることは?

弊社がパートナー選びで大事にしているのは、「同じ志を持って成長を続けようとしている会社かどうか」です。

できる限り地元の企業と一緒にやりたいという思いがあります。中小企業が元気であることが地域の発展には大事だと考えているからです。ともに成長を目指せるパートナーと組むことで、お互いにとって良い結果につながると信じています。

今回のプロジェクトウサミさんは、まさに成長意欲を持って地域に根ざした事業を展開している会社でした。そのウサミさんがつないでくれたエナリスさんとも、方向性が合致していた。自分たちの価値観に共感いただける方と連携すること。それが、新しいことに踏み出すための一番の原動力だと感じています。

今回の取り組みが少しでも参考事例になれるなら、それもまた一つの地域貢献だと思っています。

株式会社山一地所

本社
宮城県仙台市泉区泉中央二丁目13番地の3
設立
1986年7月(創業1975年1月)
資本金
2,000万円
従業員数
173名(2026年4月1日時点)
事業内容
大家業、サブリース業、賃貸仲介業、賃貸管理業、不動産開発業、不動産売買・売買仲介業、コンサルティング業、相続支援事業、建設業、マンスリー事業、再生可能エネルギー発電事業、リフォーム・リノベーション事業

取材 2026年3月
※記載された社名・部署名等の情報は取材当時のものです。閲覧時点には変更されている可能性があることをご了承ください。

Introduction お客さま紹介
中野 勝之さま 住友重機械モダン株式会社
代表取締役社長

押出成形装置メーカーの住友重機械モダン株式会社さま。2024年10月から全社で再エネ電力由来の電力供給を受けることで実質CO2排出ゼロを達成し、エナリスのオフサイトPPAで余剰電力をグループ内に融通する、国内でも稀なスキームを実現しました。その背景と効果を伺います。

「溶かす・成形する」を支える押出成形装置メーカーが挑む、製造業の脱炭素経営

住友重機械モダン株式会社はどのような会社ですか?

当社は、押出成形装置の設計・製造・販売・サービスを手がける会社です。押出成形装置とは、プラスチックの原料へ熱を加え(可塑化溶融)、金型を通じ薄膜状にし、連続的にフィルムやシートへ成形したり、基材に貼り合わせて巻き取っていく装置のことです。ポテトチップスやハム等の食品用包装材料や、医療用の輸液バッグ、産業資材用のリチウムイオン電池に使うフィルムなど、皆さんの身の回りにある製品の素材を作る装置を製造・販売・サービスしています。

押出成形装置は、原料樹脂が次々と投入され、連続的に溶かしながら成膜する装置ですので、稼働中は常に大量の電力を消費します。特にプラスチックを溶かすための熱エネルギーが電力消費の大部分を占めており、当社の製品開発においては、いかに熱効率を高め、ロスなく樹脂に熱量を伝え、均一に溶融させて品質を高められるかが重要なテーマです。すでに省電力タイプの装置も開発・上市しており、お客さまからも好評をいただいております。

環境への取り組みについて教えてください

当社は、企業として持続可能な社会の実現に貢献するため、「事業活動における環境負荷低減」「製品の環境性能向上」の両面から環境経営を推進しています。

住友重機械グループでは「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」という目標を掲げています。具体的には、装置を製造する過程でのCO2排出量を2030年に50%削減(2019年比)、2050年にゼロとする目標と、お客さまが当社の装置を使用する際のCO2排出量を2030年に30%削減(2019年比)、2050年にゼロとする目標です。当社もこのグループ目標に沿って、計画的かつ段階的な施策を進めてきました。

まず2023年には、生産拠点である千葉県富津市の既設第一工場と新設第二工場の双方に、自家消費型の太陽光発電設備を導入しました。さらに2024年10月には、富津両工場における不足電力分と横浜本社の全電力を再生可能エネルギー由来の電力へ全面的に切り替え、当社全体として「電力由来のCO2排出量実質ゼロ」を実現しました。当社が使用するエネルギーの99%以上は電気ですので、実質的にほぼ全てのCO2をゼロ化できたことになります。
加えて、2025年11月には富津工場で生じた余剰電力を横浜本社へ供給する運用を開始し、2026年4月からは住友重機械工業株式会社の田無製造所への給電も順次開始する予定です。当社内だけでなく、住友重機械グループ全体での環境負荷低減に寄与できる体制を整えつつあります。

代表取締役社長の中野さまだけでなく、取締役 製造統括の子安幹夫さま、安全衛生・環境管理グループリーダーの木我 聡さま、および関係者の皆さまにインタビューへご参加いただきました。

太陽光で発電しても「使い切れない」――余剰電力の壁を越えるまでの道のり

太陽光発電設備の導入目的と、余剰電力の課題について教えてください

富津工場への太陽光発電設備導入の目的は大きく3つありました。1つ目はCO2排出量削減による地球温暖化対策、2つ目は工場運営における電気料金の削減、そして3つ目はBCP対策です。かつて千葉県を大型台風が襲った際に近隣全体が停電し、工場が運営できなくなった困難な経験があり、最低限事務所内の電力をまかなえるよう、太陽光発電と同時に各々の工場へ蓄電池も設置しました。

しかし工場は土日・祝日が基本的に休みになるため、発電しても使い切れない余剰電力が発生していました。その余剰電力は、蓄電池だけでは吸収しきれず、当時は売電(逆潮流)もできなかったため、工場の消費電力に合わせて発電量を調整する方式(負荷追従制御)で運用するしかありませんでした。その結果、太陽光パネルの発電能力を本来の6~7割に抑えている状況が続いていました。

この課題は導入当初から想定していました。そこで、売電が可能になった際には余剰電力を活用して投資回収期間を短縮できるよう、当初から計画に織り込んでいました。

売電実現までに、どのような壁がありましたか?

当時契約していた電力会社様に余剰電力を売電すべく何度も折衝を重ねましたが、電力会社様のご事情で断念せざるを得なくなりました。

当社富津工場の近隣企業様への供給も検討しましたが、余剰電力量の規模や、休日にしか安定的に供給できないという不安定さから、売電先を探すこと自体が困難でした。「売り先が見つからない」「規模が小さくて難しい」という壁に、まさに直面していたのです。

そうした中で、太陽光発電設備を導入いただいたメーカーさんからエナリスさんをご紹介いただきました。

取締役 製造統括 子安幹夫さま

「使い切れない電力」を活かす――エナリスの提案で実現した新しい電力活用スキーム

エナリスに求めたことは何でしたか?

売電への道筋が一旦消えてしまったことで、エナリスさんには最優先課題として、大きく3つのことを強く求めさせていただきました。1つ目は余剰電力の売電先の確保、2つ目は不足分購入電力の再生可能エネルギー化、そして3つ目はこれらを通じた電力費用の削減です。

エナリスさんには初期段階から打開策を丁寧にご説明いただき、具体的なプランのご提案と手厚いサポートをしていただきました。当初は複数の小売電気事業者様を検討しておりましたが、エナリスの皆さんの、厚く、迅速かつ真摯なご対応間違い無く信頼できる会社だと認識し、相手様としてエナリスさん1社に絞りました。

余剰電力の売り先として「横浜本社への給電」を提案されたとき、どのような印象でしたか?

エナリスさんとの協議を重ねる中で、外部への売電は規模などから難しいこともあり、当座は当社の横浜本社へ託送するというご提案をいただきました。正直なところ、最初は「内部への給電で、費用削減のメリットを十分に享受できるのだろうか」という懸念がありました。

しかし、電力売買の単価について粘り強く調整していただき、私たちもほぼ思い描いていたメリットを確保できるかたちになりました。引き続き他の売電先も探していただけるというお約束もいただいたので、当座は横浜本社への託送で進めることを決断しました。

エナリスのサポートで、特に印象に残っていることはありますか?

売電と買電の両面で、できる限りコスト削減したいという思いが強く、単価交渉ではかなり踏み込んだお願いをさせていただきました。しかしエナリスさんはめげずに何度も社内調整の上提案してくださり、最終的に合意に至ることができました。

特にうれしいのは、契約後のアフターサービスです。住友重機械グループ内の田無製造所への売電実現に向けたご協力や、将来の容量市場への参画の提案など、設備を最大限活用するためのさまざまな選択肢を提案し続けてくれています。せっかく導入した設備ですから、「使い切りたい」という私たちの思いにしっかり寄り添っていただいています。

CO2排出99%削減、電力コストも従来比で約15%削減――数字で見るスキームの成果

CO2削減やコスト削減の効果を教えてください

2025年度の実績でいうと、当社はCO2換算で755.6トンに相当するエネルギーを消費しましたが、そのうち98.8%にあたる746.6トンを、エナリスさんから購入した再生可能エネルギーおよび自社の太陽光発電でまかなうことができました。実質的なCO2排出量はほぼゼロです。この成果は住友重機械グループの中でも先駆的な取り組みであり、他事業部(SBU)にとっても環境負荷低減活動を進めるうえでの良い事例になればと考えております。

富津第二工場に設置した太陽光発電パネル

電力コストの面では、2024年度実績で第1工場・第2工場合わせて従来比約15%の電力料金削減となりました。また、横浜本社への余剰電力融通については、2026年1月は横浜本社の電力使用量の約20.7%に相当する8,400kWhを富津工場の太陽光発電によってまかなうことができ、当初の想定を上回る結果です。年末年始の工場休業期間が含まれていたことと、休業期間中に天候に恵まれたことが、発電量の増加に寄与しました。

社内外からの反響はいかがですか?

エナリスさんのプレスリリースを日経BP社が取り上げてくださったことで、想像以上に大きな反響がありました。記事をご覧になった取引先や関係会社の皆さん、お客様からも多くの温かいお言葉をいただき、当社の環境への取り組みについてより一層ご理解いただく機会になったと感じております。

住友重機械モダン、工場間で太陽光の余剰電力を融通 – ニュース – メガソーラービジネス plus : 日経BP

社内でも大きな反響がありました。自社の取り組みがメディアを通じて広く発信されたことで、自分たちの活動が社会に貢献できているという実感が持てるようになりました。今後の環境活動にも大きな助力になると思います。

また、工場見学に来られたお客さまが玄関にある発電量のリアルタイムモニターを見て感心してくださることも増えました。以前は発電能力の出力を抑えていたものが、売電の仕組みができたことで100%の力でフル稼働させられるようになり、設備本来が持つ力を無駄なく使えています。
こうした取り組みをきっかけに、持続可能な脱炭素社会の実現を目指す企業グループ「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」への賛助会員として2026年4月1日付で加盟する運びとなりました。

安全衛生・環境管理グループリーダー木我 聡さま

Scope3まで見据えた製品開発と、オフサイトPPAスキームの「完成」

今後の再生可能エネルギー拡大の計画を教えてください

2026年4月からは、住友重機械工業グループの田無製造所への給電を開始する予定です。田無製造所は365日・24時間稼働しており、当社が休日に発電した余剰電力を安定的に受け入れていただけます。これにより、ようやく余剰電力の100%有効活用が実現する見通しとなりました。
この時点で、当社のオフサイトPPAのスキームは完成形となります。当社だけでなく、住友重機械グループ全体での環境負荷低減と費用削減に寄与できる体制がようやく整ったと感じています。

同じ課題を抱える企業の皆さんへ、メッセージをお願いします

当社も「余剰電力は活用したいが、売り先が見つからない」「規模が小さくて難しい」と考え、当初は実現が困難だと覚悟していました。紆余曲折もあり時間も要しましたが、幸いにもエナリスさんという良いパートナーに恵まれ、本年4月には当初描いていた「環境負荷低減と経費削減の両立」というスキームを構築できる見込みとなりました。

外部環境や法的な要求は日々変化しますが、粘り強く諦めずに目的の実現に向けて進めることが大切だと改めて感じています。こうした取り組みは必ず、企業全体の価値向上にもつながっていくはずです。

住友重機械モダン株式会社

本社
神奈川県横浜市港北区新吉田東8-32-16
設立
1955年10月
資本金
2億円
従業員数
184名(2026年3月末時点)
事業内容
プラスチック押出成形装置の設計・製造・販売・サービス

取材 2026年3月
※記載された社名・部署名等の情報は取材当時のものです。閲覧時点には変更されている可能性があることをご了承ください。

Introduction お客さま紹介
森田 貴之さま 丸紅リートアドバイザーズ株式会社
サステナビリティ戦略室 室長

不動産投資信託であるJ-REITの資産運用を担う丸紅リートアドバイザーズさま。業界のサステナビリティを牽引する同社が、投資家からの「追加性」ある再エネ導入要請という課題に対し、エナリスのオフサイトPPAを導入。その理由と効果を伺いました。

「証書を買う」だけでは、もう選ばれない。海外投資家が求める再生可能エネルギーとは?

丸紅リートアドバイザーズ株式会社はどのような会社ですか?

弊社は、東京証券取引所に上場している不動産投資信託(J-REIT)の資産運用会社です。J-REITとは、多くの投資家から資金を集めて不動産に投資し、その賃料収入や売却益を投資家に分配する仕組みです。現在、日本には50数銘柄のJ-REITがあり、弊社はその中の一つとして、投資家の皆さまに不動産投資の機会を提供しています。

弊社が運用を手掛けるのは、ユナイテッド・アーバン投資法人から受託した不動産資産です。その規模は日本国内で142物件、7,000億円超(2025年9月12日現在)にのぼります。最大の特徴は、オフィスビル、商業施設、ホテル、賃貸住宅、物流施設など、特定の用途に特化しない「総合型」であることです。この多様な資産を長期的に安定運用し、投資家の皆さまへ利益を還元することを使命としています。

また、サステナビリティ(持続可能性)を重視した運用を継続しており、その証として、環境不動産の国際的なベンチマーク「GRESB」において11年連続で「Green Star」評価を獲得しています。(※)

GRESBのGreen Star評価とは、企業がESG(環境・社会・ガバナンス)を推進するためのマネジメント体制(方針や組織)と、保有物件でのパフォーマンス(環境対策やテナントとの協働)の両面で優れた取り組みを行っていることを示すものです。

すでに高い評価を得ているのに、なぜさらなる再生可能エネルギーの取り組みが必要だったのでしょうか?

私たちは2030年までに、保有する物件におけるスコープ1及びスコープ2の「温室効果ガス総排出量」を、2021年比で42%削減するという目標を掲げています。今後も物件を取得し事業を拡大していく中で「総量」を削減するには、省エネだけでは追いつきません。そのため、新たな再エネ電源を世の中に生み出すことに貢献する「追加性」のある取り組みが不可欠だと考えました。

これまでは非化石証書も活用してきましたが、これは既存の環境価値を取引するもので、社会全体の再生可能エネルギーの総量を増やすものではありません。特に欧州の一部の機関投資家からは、「追加性のある再生可能エネルギーを導入しているか」という具体的な質問を受けることもありました。

こうした状況を踏まえ、当社が競争力を維持していくためには、次の2点が重要だと判断しました。

そこで、この判断に基づき、追加性のある再エネ電力を安定的に調達できる今回の取り組みを進めることにしました。

これにより、保有する物件全体の脱炭素化はもちろん、物件そのものの価値向上や、テナントさまから「選ばれる」ことにもつながると期待しています。

脱炭素化の前に立ちはだかった「3つの壁」―物理的な制約、社内調整、価格変動リスク

再エネ導入の検討において、どのような課題がありましたか?

まず物理的な制約がありました。自社物件の屋根などに太陽光パネルを設置することも検討しましたが、物流施設の屋根は荷重の問題で設置が難しく、都心の物件はそもそもパネルを置けるスペースがありません。そのため、選択肢は敷地外にある再エネ発電所から電力を購入する「オフサイトPPA」に限られました。

次に社内での合意形成です。私たちは投資家の中長期的利益を極大化することを究極の目的としています。その観点から、資産運用部門ではコスト効率を丁寧に検討し、再エネ導入が従来電力と比べて投資家利益に適うかを確認しました。最終的には、エナリスさんからご提案いただいた単価が当時の電力料金よりも有利であったことが後押しとなり、合意形成が進みました。

そして最大の課題が、長期契約に伴う「価格変動リスク」でした。PPAは電力単価が固定されるというメリットがありますが、もし将来、市場価格が大幅に下落した場合には、逆に割高になってしまいます。私たちは、この点が「投資家の利益を損なう恐れがある」ことを重視し、検討を進めました。

もっとも、脱炭素の流れは今後も継続すると予想され、 再エネ電力の「需要」は拡大が見込まれます。同時に、太陽光発電の設置余地(供給)には物理的な制約があります。

こうした需給の見通しを踏まえ、最終的に「将来、電力価格が大幅に値崩れする可能性は低い」との見立てを社内で共有し、理解と合意を得ることができました。

投資法人としての事業モデルを守る絶対条件。決め手は「全量固定価格」という安心感

パートナーとしてエナリスを選んでいただいた理由をお聞かせください

私たち投資法人は、投資家の皆さまへ安定的な分配金を支払う責務があります。そのため、電力料金など価格変動の影響を受けやすいコストは、安定性と見通しの確かさが求められます。

オフサイトPPAでは、太陽光が発電しない夜間や雨天時に不足する電力を送配電網から補ってもらう「負荷追従」の仕組みが不可欠です。当初はある事業者へ相談したのですが、負荷追従部分の料金が市場価格に連動する「変動価格」でした。その場合、電力コストの振れ幅が大きく、安定的な事業運営に課題が残ると判断しました。

複数の事業者さまとお話する中で、この「負荷追従部分も含めて固定価格で提供できる」と明確にご提案いただけたのがエナリスさんでした。サステナビリティの推進と、投資法人としての事業モデルを守ること。この二つを両立できる唯一の選択肢でした。

また、電力契約を変更できるタイミングが限られていたり、対象物件が直前に変更になったりといった事態にも、迅速かつ柔軟に対応いただけた点も、パートナーとしての信頼に繋がりました。

コストはそのままに、CO2排出量ゼロと投資家へのアピールを両立。不動産の価値向上にも貢献

オフサイトPPA導入によって、どのような効果が期待できますか?

まず、今回導入する3物件のCO2排出量が実質ゼロになります。これは温室効果ガス削減目標の達成に向けた非常に大きな一歩です。

コスト面でも、シミュレーション上は以前の電力料金とほぼ同等か、若干安くなる見込みです。つまり、コストを上げることなく、投資家が強く求める「追加性」のある再エネ導入を実現できたことになります。これはIR活動においても強力なアピール材料になると考えています。

また、近年はテナントさま、特に外資系企業から「このビルは再生可能エネルギーを使っていますか?」という問い合わせが増えています。再エネ電力を利用できることはビルの付加価値となり、選ばれる理由の一つになります。環境価値の向上が、不動産価値の向上、そして投資家の利益にも繋がるという好循環を生み出せると期待しています。

今回の成功をモデルケースに、業界全体の脱炭素化を牽引する存在へ

今後の展望についてお聞かせください

まずは今回の導入を成功事例とし、得られた知見を活かして他の物件への展開を進めていきたいと考えています。特に、私たちの管理権限下にあるポートフォリオでは、温室効果ガス排出量の約4割を占める6つの大規模物件への対策が喫緊の課題となっています。

私たちは、新規開発などの不動産デベロッパーではなく、既存建物の運用を主業とする不動産アセットマネジメント会社です。所与の条件が多く、脱炭素化の制約を受けるからこそ、設備更新や運用改善、テナント協業といった運用面での創意工夫が成果を左右します。限られた条件下でも実効性のある削減を積み上げることで、その姿勢を業界全体で共有し、未来に対して責任を果たしていきたいです。

多くの制約があるからこそ知恵を絞り、一歩ずつでも着実に温室効果ガス排出量の削減を進めていく。今回の取り組みが、不動産投資業界全体の脱炭素化を加速させる一助となれば嬉しく思います。

丸紅リートアドバイザーズ株式会社

本社
東京都港区虎ノ門四丁目3番1号 城山トラストタワー18階
設立
2001年12月
資本金
4億2,500万円
従業員数
85名(2024年3月末時点)
事業内容
金融商品取引法第28条第4項に基づく投資運用業

取材 2025年9月
※記載された社名・部署名等の情報は取材当時のものです。閲覧時点には変更されている可能性があることをご了承ください。

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