GX・脱炭素といえばエナリス導入事例・導入の扉製造業
Introduction お客さま紹介
安藤 啓太様 株式会社キャストアンドー
代表取締役社長

創業より100年以上にわたり、ものづくりの基盤となる鋳物部品の製作を行ってきた株式会社キャストアンドー様。同社は再生可能エネルギーの活用に積極的に取り組むとともに、「長岡市カーボンニュートラル推進パートナー企業」の一員として、脱炭素による地域や産業界の活性化を目指しています。今回はその取り組みへの思いと、エナリスへの期待について、代表取締役の安藤啓太様にお話を伺いました。

業界に先駆けて脱炭素化に取り組む「株式会社キャストアンドー」

株式会社キャストアンドーはどのような会社ですか?

当社は大正3年(1914年)創業の鋳物製造会社です。設立当初は銅合金製鍋釜の鋳物製造の工場でしたが、現在は工作機械、産業機械を中心とした鋳物や、高付加価値の金属加工製品をお客さまに提供しています。また、鋳物業界をはじめとするものづくり産業のイメージ向上を目指して、CO2削減などのSDGsの取り組みも積極的に行っております

CO2削減に向けたキャストアンドー様の取り組みについて、詳しく教えてください

当社は2023年6月に、鋳造業では設置が難しいとされるソーラーパネルを276枚設置しました。これにより自家消費量の2.65%削減を達成しています。この数字は小さく感じるかもしれませんが、鋳物業界においては先進的な取り組みです。なぜかというと、鋳物の製造工程で発生する物質によって工場の屋根が腐食するリスクがあり、強度の問題からソーラーパネルの設置自体が難しいからです。当社は同じ敷地内に2棟の工場を持っていますが、条件が整っている1棟にのみパネルを設置することができました。このように業界特有の課題を乗り越えながら、環境負荷の低減に取り組んでいます

また「長岡市カーボンニュートラル推進パートナー企業」として、2024年11月に発足した「脱炭素で長岡の産業の未来をつくるJ-クレジット創出プロジェクト(※1 )」に参加し、J-クレジット制度(※2)の推進にも取り組んでいます。当社単独ではCO2削減量のクレジット化は難しいですが、長岡市やほかの企業さまと力を合わせることで、地域や産業界がさらに活気づくことを期待しています。

1 長岡市が中心となり、太陽光発電設備などによるCO2削減量を一括してクレジット化する全国初の取り組み。官民や金融機関が一体となることで、個々の企業では困難な脱炭素経営の推進を目指す

2 企業や自治体が省エネルギー設備の導入、再生可能エネルギーの利用、または適切な森林管理などを通じてCO2などの温室効果ガスの排出削減や吸収を実現した際、その成果を「クレジット」として国が認証する制度。クレジットは脱炭素経営の証明として活用できるほか、売買により収益化することも可能

CO2削減を通し、自社と社会の持続的な発展を目指す

太陽光発電やCO2削減に注目された理由は何でしょうか?

そもそも鋳物業界は本質的にリサイクル産業です。私たちは鉄系の廃材を原材料として溶かし、そこから新しい製品を作り出しています。つまり、業界全体が資源を循環させる特性を持っているのです。ただ、こうした側面については、業界内では「あたりまえのこと」として、これまであまり積極的に発信してきませんでした。

一方で若い世代の中で環境問題への意識が高まっていることを感じています。これからは鋳物業界の環境への貢献や魅力をもっと広く伝えることで、「鋳物業界っていいな」「環境に配慮した取り組みをしている会社だな」という印象を別の業界の方や若い世代など、多くの方に持っていただきたいと考えています。

環境への貢献にもっと取り組んでいこうと考える中で「電気」に注目したのは、単純に私たちの業界が大量の電力を消費するからです。特に鉄を溶かす炉が電力消費の大部分を占めています。これまでは「炉を使う以上、電気をたくさん使うのは避けられない」という認識でした。電力消費は事業運営において当たり前すぎて、課題ではあるものの「仕方のないこと」として受け入れていたのです。しかし今は長岡市カーボンニュートラル推進パートナー企業として、環境にやさしい企業であることをアピールしたいという思いから、環境への負荷をいかに減らせるかを考えるようになっています。

先ほどお伝えしたように、ソーラーパネルによるCO2削減、電気料金削減は微々たるものです。ですが、そうした困難があるからこそ、CO2削減への取り組みは会社や業界のイメージアップにつながると考えています。

取り組みを進めていくうえで課題はありましたか?

課題は大きく分けて2つありました。まず1つ目は「電気料金」です。当社は一時期、地元の電力会社から新電力に切り替えていたことがあります。当初は良かったのですが、やがて電気料金が想像以上に高騰してしまい、大変な思いをしました。ですからエナリスさんのプランをご提案いただいたときも「本当に切り替えて大丈夫か?」と非常に迷いました。

2つ目は「J-クレジット制度」です。当社を含む鋳物業界は、いずれJ-クレジットを「購入する側」になると考えています。ただ現時点で、この制度が今後どのように動いていくかわからないため、当社としてはJ-クレジットにどう対応していくべきか、課題に感じていました。

電気料金を抑えつつカーボン・オフセットに取り組めるエナリス

エナリスの電力メニューに興味を持たれた理由を教えてください

先ほどお話しした通り、電力会社を切り替えることには迷いがありました。しかし、CO2削減目標を達成するには再生可能エネルギー由来の電気を調達する必要があります。一方で、地元電力会社が提供している再エネプランは非常に高額でした。

そんな中エナリスさんから、電気料金を安くできるうえにCO2排出量を従来の4分の3にできるご提案をいただき、これはコスト面と環境貢献の両立ができる理想的な解決策だと感じました。

もともと当社の事情を良く知る代理店の株式会社プレスト様からエナリスさんの紹介を受けたことと、実際にお会いした営業担当の方の第一印象が良かったこともあり、ご提案いただいたメニューで契約することに決めました。

SDGsの推進を通して、社会的責任を果たしていきたい

キャストアンドー様の今後の取り組みについて教えてください

当社はエネルギー多消費型産業ではありますが、それだけにCO2削減に取り組む意義は大きいと考えています。引き続き、効率的なエネルギーの利用や長岡市のJ-クレジット創出プロジェクトに積極的に関わることで、J-クレジット制度の今後の動きを見極めつつ、環境保全の面から社会的責任を果たしていくつもりです

ちなみにCO2削減はSDGsの取り組みの一環ですが、当社ではほかにも「資源の再利用」や「社員が働きやすい職場づくり」「地域発展への貢献」など、さまざまな分野でSDGsの達成に向けて取り組んでいます

こうした取り組みが多くの方の目に留まり、ひいては当社や鋳物業界の魅力を高めるきっかけになれば幸いです。

株式会社キャストアンドー

本社
新潟県長岡市宮下町436番1
設立
1914年
資本金
2,500万円
従業員数
40名
事業内容
1.銑鉄鋳物製造業
2.機械部品加工業

取材 2025年2月
※記載された社名・部署名等の情報は取材当時のものです。閲覧時点には変更されている可能性があることをご了承ください。

サンスターグループ
執行役員 日本エリア品質保証担当 兼 サステナビリティ担当 安田 真吾様
執行役員 広報・サステナビリティ担当 兼 日本エリア広報部長 鈴木 久美子様
理事 日本エリア総務担当 兼 日本エリア総務部長 宮嵜 潤様
日本エリア広報部 サステナビリティグループ長 草野 彰吾様
日本エリア総務部 不動産施設管理グループ長 稲葉 準様

サンスターグループは、1932年創業以来、『常に人々の健康の増進と生活文化の向上に奉仕する』の社是のもと、消費者の方々にハミガキ・ハブラシなどのオーラルケア商品を中心とした、お口や体を健やかに保つ商品を提供。また、空気環境・住空間・移動空間などにおいても健康で快適な生活をサポートするため、建築用・自動車用接着剤やバイク用金属部品、室内空気質改善事業などを展開しています。
2021年4月より、エナリスの電力コスト削減と環境への配慮を同時に推し進める「環境配慮型サービス」を導入し、全国に広がる約8割の拠点で各々電力コスト削減に成功。同時に、日本国内のサンスターグループ各社の工場・オフィスで使用する電力の約72%を、CO2を排出しない再生可能エネルギーに切り替えることに成功しました。 今後は、日本だけでなく、世界のグループ各社の自社事業所で使う電力において再生可能エネルギー100%を目指されています。

今回は導入の経緯や成果について、執行役員 日本エリア品質保証担当 兼 サステナビリティ担当 安田 真吾氏、執行役員 広報・サステナビリティ担当 兼 日本エリア 広報部長 鈴木 久美子氏、理事 日本エリア 総務担当 兼 日本エリア総務部長 宮嵜 潤氏、日本エリア 広報部 サステナビリティグループ長 草野 彰吾氏、日本エリア 総務部 不動産施設管理グループ長 稲葉 準氏5名にお話を伺いました。

創業100周年に向け、社会課題を解決する企業へ

サンスター様の事業内容や展望についてお聞かせください。

(広報・サステナビリティ担当・鈴木執行役員)
2019年に、サンスターグループが今後も社会に必要とされ続ける企業となるべく、2032年の創業100周年に向けた長期ビジョンを発表しました。
SDGsなどの社会課題解決に寄与する事業展開を目指すため、社会と共存する視点から2021年3月には「環境中長期目標」を発表し、製品や包装材の環境負荷低減や事業活動での再生可能エネルギー導入などによるCO2排出量削減、水使用量の低減に向けて努めています。

エナリスのサービス導入前にはどんな課題がありましたか。

(品質保証担当兼サステナビリティ担当・安田執行役員)
エネルギー対策において、競合他社に比べて弊社は後塵を拝しており、その遅れを取り戻すために迅速に対応していかなければならないという危機感がありました。
中長期目標の策定にあたり、まずは、海外や日本国内企業をいくつかベンチマークし、他社がいつまでにどんな計画を立てているのか、トレンドを分析しました。​
調査結果として、当社の課題は大きく3点ありました。

【 課題① 電源政策の一元化とコスト削減 】
電力自由化により3年前にすでに5事業所については戦略的な電源調達を一部実施していました。サンスターグループの国内自社事業所すべてを最適化したい、と考えていましたが、マンパワーが足りず頓挫していました。​

【 課題② CO2排出量の削減(温暖化対策) 】
調査結果から、CO2排出量において、電力に関する排出量が90%を超えていることが明らかになりました。電力関連のCO2排出量にメスを入れることでダイナミックな削減が実現すると確信していました。

【 課題③ 企業ブランディングの強化 】
当社は、人々の健康や快適な生活づくりに貢献し、社会から必要とされ続けるグローバル企業となるために、環境や社会に配慮したクリーンな製品を提供していきたいと考えております。クリーンな製品を提供する上では当然、クリーンなエネルギーを使っていかないといけない、ということが念頭にありました。また、今後の世界の持続的な発展、サステナビリティの観点からも今、対策を打つ必要があると考えていました。​

コスト削減と環境課題の両方を解決するために

なぜエナリスを選んでいただけたのでしょう?

(総務部・宮嵜理事)
社内の経費コストを1/3に圧縮しようという非連続な社内目標がありました。その中で電力についても照明をLED電球に変えるなど、少しずつ削減の努力はしてきましたが、こうした大きな目標達成に向けたインパクトには至っていませんでした。クリーンなイメージを守り続けるには、もっと大幅な改善施策が必要、と考えていたときに、エナリスさんからご提案を受けました。

(総務部・稲葉グループ長)
複数社同時に話を聞いたなかで、エナリスさんの提案が最も刺さりました。一番のポイントとしては、コストカットの観点だけでなく、環境面も同時に解決できる、一石二鳥のサービスだという点です。こんな画期的な企業が存在するのか、と驚きました。
当社は全国に拠点があるため、全国的にサポートしてくれる、という点も良かったです。

<エナリスを選んだポイント>

(品質保証担当兼サステナビリティ担当・安田執行役員)
再生可能エネルギーへの移行をどうやって進めるか、と悩んでいたときに、社内の他部署のメンバーからも環境に対する取り組みや考えを聞きました。環境に配慮する取り組みをしたい思いは同じ、ということで手を組んで一緒にやろう、と話していたタイミングで当社にフィットするご提案をいただけたのが良かったです。

ファクトを示せるようになったことが何よりの成果

エナリスの「環境配慮型サービス」導入後、どんな成果がありましたか?

【成果① CO2排出量の削減】
(品質保証担当兼サステナビリティ担当・安田執行役員)
エナリスとの契約で、日本国内のサンスターグループ各社の工場・オフィスで使用する電力の約72%を、2021年4月からCO2を排出しない再生可能エネルギーに切り替えることができました。 国内拠点の電力・燃料消費などで、年間に排出されるCO2の約6割に当たる約8,500トンを削減できる見込みです。​

【成果② コスト(電気料金)削減 】
電気代は2ヶ月で3割減を実現しました。電気料金明細を見た現場担当者からは、あっと驚く声も聞かれました。現場にとって、導入成果がわかりやすかったと思います。

【成果③ 投資家からの反響】
(サステナビリティ担当・草野グループ長)
投資面でも大きな変化がありました。近年では、クリーンな企業でないと投資しないという銀行や株主も多いです。“70%再生可能エネルギーに切り替えた”というニュースリリースを打った際に、環境系メディアを中心として取り上げられたこともあり、投資関係の方々の問い合わせ件数が格段に増え、対外的なインパクトを実感しました。

そのほか、実感されている定性的な成果はありますか?

(品質保証担当兼サステナビリティ担当・安田執行役員)
プロジェクトメンバーを始めとして、競合に追いつくための第一歩を踏み出せた、という感覚が持てました。
何よりも行動の結果としてのファクト(実績)を社内に示せるようになったことが今回のもっとも大きな成果だと思います。
社員に会社の本気度を感じてもらい、実際に一人一人に行動してもらうには実績を示していく必要がありました。

今回のような実績を積み上げることで、社員の皆さんの心を動かして、行動につなげていけると考えています。

(広報・サステナビリティ担当・鈴木執行役員)
採用活動において、学生や新入社員に対しても会社としてどんな目標や実績があるのか、示せるようになった点は大きいです。

(サステナビリティ担当・草野グループ長)
若手社員や、営業など社外との接点が多い社員は環境対策に対して意識が高く、新入社員研修でのサステナビリティについてのセッションでも、今回の契約内容を紹介できたことで、好意的な反応がありました。社員に向けても環境問題への対策について、企業姿勢を見せられたと考えます。

エナリスに今後ご期待いただいていることはありますか。

(総務部・稲葉グループ長)
大きく3つあります。
日本国内拠点の中で、賃貸の施設はまだ導入が完了していません。賃貸物件に関しても、自社所有の施設と同様に環境配慮型サービスを導入し、最適化100%を目指していきたいと考えているので、引き続きご協力いただきたいと考えています。

また、再生可能エネルギーの需要が増えることによって電気代が高騰してしまわないか等、電気料金に関わる情報は今後気になる点ですので、引き続き、情報共有をしていただきたいです。
さらに、海外拠点に関しても世界水準を目指せるよう、サポートしてくださるとありがたいと考えています。​

(品質保証担当兼サステナビリティ担当・安田執行役員)
今後の具体的な目標としては、海外拠点であるドイツが環境問題への対策が最も進んでおり、自家発電も実現しているため、海外のグループ会社の先進事例にも学びながら日本を含むグループ各社でも同じ水準に持っていきたいと考えています。

サンスターグループ​

本社
大阪府高槻市朝日町3-1
設立
1932年​
資本金
11,500,000,000円
サンスター(株)、サンスター技研(株)合計
従業員数
約1,400名
事業内容
サンスターグループは、世界の人々の健康の増進と生活文化の向上に寄与する製品とサービスを提供するために、消費財事業、生産財事業を展開しています。
■消費財事業:オーラルケア製品、化粧品、健康食品等、生活者向けの製品やサービスを扱う事業
■生産財事業:自動車や建築向けの接着剤・シーリング材、オートバイや自動車向け金属加工部品、脱臭・除菌システム等の産業向け製品やサービス扱う事業

取材 2021年6月
※記載された社名・部署名等の情報は取材当時のもので、閲覧時点には変更されている可能性があることをご了承ください。

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