オフサイトPPAサービス
(フィジカル)
発電事業者とお客さまの電力売買を仲介し、お客さまの再エネ利用をサポートします。
脱炭素に向けた新しい電力活用スキームを、エナリスと一緒に構築しました!
押出成形装置メーカーの住友重機械モダン株式会社さま。2024年10月から全社で再エネ電力由来の電力供給を受けることで実質CO2排出ゼロを達成し、エナリスのオフサイトPPAで余剰電力をグループ内に融通する、国内でも稀なスキームを実現しました。その背景と効果を伺います。
当社は、押出成形装置の設計・製造・販売・サービスを手がける会社です。押出成形装置とは、プラスチックの原料へ熱を加え(可塑化溶融)、金型を通じ薄膜状にし、連続的にフィルムやシートへ成形したり、基材に貼り合わせて巻き取っていく装置のことです。ポテトチップスやハム等の食品用包装材料や、医療用の輸液バッグ、産業資材用のリチウムイオン電池に使うフィルムなど、皆さんの身の回りにある製品の素材を作る装置を製造・販売・サービスしています。
押出成形装置は、原料樹脂が次々と投入され、連続的に溶かしながら成膜する装置ですので、稼働中は常に大量の電力を消費します。特にプラスチックを溶かすための熱エネルギーが電力消費の大部分を占めており、当社の製品開発においては、いかに熱効率を高め、ロスなく樹脂に熱量を伝え、均一に溶融させて品質を高められるかが重要なテーマです。すでに省電力タイプの装置も開発・上市しており、お客さまからも好評をいただいております。

当社は、企業として持続可能な社会の実現に貢献するため、「事業活動における環境負荷低減」と「製品の環境性能向上」の両面から環境経営を推進しています。
住友重機械グループでは「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」という目標を掲げています。具体的には、装置を製造する過程でのCO2排出量を2030年に50%削減(2019年比)、2050年にゼロとする目標と、お客さまが当社の装置を使用する際のCO2排出量を2030年に30%削減(2019年比)、2050年にゼロとする目標です。当社もこのグループ目標に沿って、計画的かつ段階的な施策を進めてきました。
まず2023年には、生産拠点である千葉県富津市の既設第一工場と新設第二工場の双方に、自家消費型の太陽光発電設備を導入しました。さらに2024年10月には、富津両工場における不足電力分と横浜本社の全電力を再生可能エネルギー由来の電力へ全面的に切り替え、当社全体として「電力由来のCO2排出量実質ゼロ」を実現しました。当社が使用するエネルギーの99%以上は電気ですので、実質的にほぼ全てのCO2をゼロ化できたことになります。
加えて、2025年11月には富津工場で生じた余剰電力を横浜本社へ供給する運用を開始し、2026年4月からは住友重機械工業株式会社の田無製造所への給電も順次開始する予定です。当社内だけでなく、住友重機械グループ全体での環境負荷低減に寄与できる体制を整えつつあります。

富津工場への太陽光発電設備導入の目的は大きく3つありました。1つ目はCO2排出量削減による地球温暖化対策、2つ目は工場運営における電気料金の削減、そして3つ目はBCP対策です。かつて千葉県を大型台風が襲った際に近隣全体が停電し、工場が運営できなくなった困難な経験があり、最低限事務所内の電力をまかなえるよう、太陽光発電と同時に各々の工場へ蓄電池も設置しました。
しかし工場は土日・祝日が基本的に休みになるため、発電しても使い切れない余剰電力が発生していました。その余剰電力は、蓄電池だけでは吸収しきれず、当時は売電(逆潮流)もできなかったため、工場の消費電力に合わせて発電量を調整する方式(負荷追従制御)で運用するしかありませんでした。その結果、太陽光パネルの発電能力を本来の6~7割に抑えている状況が続いていました。
この課題は導入当初から想定していました。そこで、売電が可能になった際には余剰電力を活用して投資回収期間を短縮できるよう、当初から計画に織り込んでいました。
当時契約していた電力会社様に余剰電力を売電すべく何度も折衝を重ねましたが、電力会社様のご事情で断念せざるを得なくなりました。
当社富津工場の近隣企業様への供給も検討しましたが、余剰電力量の規模や、休日にしか安定的に供給できないという不安定さから、売電先を探すこと自体が困難でした。「売り先が見つからない」「規模が小さくて難しい」という壁に、まさに直面していたのです。
そうした中で、太陽光発電設備を導入いただいたメーカーさんからエナリスさんをご紹介いただきました。

売電への道筋が一旦消えてしまったことで、エナリスさんには最優先課題として、大きく3つのことを強く求めさせていただきました。1つ目は余剰電力の売電先の確保、2つ目は不足分購入電力の再生可能エネルギー化、そして3つ目はこれらを通じた電力費用の削減です。
エナリスさんには初期段階から打開策を丁寧にご説明いただき、具体的なプランのご提案と手厚いサポートをしていただきました。当初は複数の小売電気事業者様を検討しておりましたが、エナリスの皆さんの、厚く、迅速かつ真摯なご対応に間違い無く信頼できる会社だと認識し、相手様としてエナリスさん1社に絞りました。
エナリスさんとの協議を重ねる中で、外部への売電は規模などから難しいこともあり、当座は当社の横浜本社へ託送するというご提案をいただきました。正直なところ、最初は「内部への給電で、費用削減のメリットを十分に享受できるのだろうか」という懸念がありました。
しかし、電力売買の単価について粘り強く調整していただき、私たちもほぼ思い描いていたメリットを確保できるかたちになりました。引き続き他の売電先も探していただけるというお約束もいただいたので、当座は横浜本社への託送で進めることを決断しました。
売電と買電の両面で、できる限りコスト削減したいという思いが強く、単価交渉ではかなり踏み込んだお願いをさせていただきました。しかしエナリスさんはめげずに何度も社内調整の上提案してくださり、最終的に合意に至ることができました。
特にうれしいのは、契約後のアフターサービスです。住友重機械グループ内の田無製造所への売電実現に向けたご協力や、将来の容量市場への参画の提案など、設備を最大限活用するためのさまざまな選択肢を提案し続けてくれています。せっかく導入した設備ですから、「使い切りたい」という私たちの思いにしっかり寄り添っていただいています。
2025年度の実績でいうと、当社はCO2換算で755.6トンに相当するエネルギーを消費しましたが、そのうち98.8%にあたる746.6トンを、エナリスさんから購入した再生可能エネルギーおよび自社の太陽光発電でまかなうことができました。実質的なCO2排出量はほぼゼロです。この成果は住友重機械グループの中でも先駆的な取り組みであり、他事業部(SBU)にとっても環境負荷低減活動を進めるうえでの良い事例になればと考えております。

電力コストの面では、2024年度実績で第1工場・第2工場合わせて従来比約15%の電力料金削減となりました。また、横浜本社への余剰電力融通については、2026年1月は横浜本社の電力使用量の約20.7%に相当する8,400kWhを富津工場の太陽光発電によってまかなうことができ、当初の想定を上回る結果です。年末年始の工場休業期間が含まれていたことと、休業期間中に天候に恵まれたことが、発電量の増加に寄与しました。
エナリスさんのプレスリリースを日経BP社が取り上げてくださったことで、想像以上に大きな反響がありました。記事をご覧になった取引先や関係会社の皆さん、お客様からも多くの温かいお言葉をいただき、当社の環境への取り組みについてより一層ご理解いただく機会になったと感じております。
住友重機械モダン、工場間で太陽光の余剰電力を融通 – ニュース – メガソーラービジネス plus : 日経BP
社内でも大きな反響がありました。自社の取り組みがメディアを通じて広く発信されたことで、自分たちの活動が社会に貢献できているという実感が持てるようになりました。今後の環境活動にも大きな助力になると思います。
また、工場見学に来られたお客さまが玄関にある発電量のリアルタイムモニターを見て感心してくださることも増えました。以前は発電能力の出力を抑えていたものが、売電の仕組みができたことで100%の力でフル稼働させられるようになり、設備本来が持つ力を無駄なく使えています。
こうした取り組みをきっかけに、持続可能な脱炭素社会の実現を目指す企業グループ「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」への賛助会員として2026年4月1日付で加盟する運びとなりました。

2026年4月からは、住友重機械工業グループの田無製造所への給電を開始する予定です。田無製造所は365日・24時間稼働しており、当社が休日に発電した余剰電力を安定的に受け入れていただけます。これにより、ようやく余剰電力の100%有効活用が実現する見通しとなりました。
この時点で、当社のオフサイトPPAのスキームは完成形となります。当社だけでなく、住友重機械グループ全体での環境負荷低減と費用削減に寄与できる体制がようやく整ったと感じています。

当社も「余剰電力は活用したいが、売り先が見つからない」「規模が小さくて難しい」と考え、当初は実現が困難だと覚悟していました。紆余曲折もあり時間も要しましたが、幸いにもエナリスさんという良いパートナーに恵まれ、本年4月には当初描いていた「環境負荷低減と経費削減の両立」というスキームを構築できる見込みとなりました。
外部環境や法的な要求は日々変化しますが、粘り強く諦めずに目的の実現に向けて進めることが大切だと改めて感じています。こうした取り組みは必ず、企業全体の価値向上にもつながっていくはずです。
住友重機械モダン株式会社
取材 2026年3月
※記載された社名・部署名等の情報は取材当時のものです。閲覧時点には変更されている可能性があることをご了承ください。
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