GX・脱炭素といえばエナリスエナリスジャーナルエネルギーアグリゲーションビジネスとは? 概要や参入方法をわかりやすく解説!

アグリゲーションビジネスとは? 概要や参入方法をわかりやすく解説!

脱炭素経営を目指している方や再生可能エネルギーを活用したビジネスに注目している方の中には、アグリゲーションビジネスについて関心を寄せている方も多いのではないでしょうか。

アグリゲーションビジネスは、電力の需給バランスの制御に関する新しいビジネスで、電力ユーザーと発電事業者どちらにとってもメリットがあります。

そこで今回は、アグリゲーションビジネスの仕組みや特徴についてわかりやすくご紹介していきます。アグリゲーションビジネスについて関心を持っている方は、参考にしてみてください。

アグリゲーションビジネスとは

アグリゲーション(aggregation)とは、英語で「集めること」や「束ねること」を意味する言葉。電力分野における「アグリゲーションビジネス」は、電力を束ね、効率的かつ安定的に電力の需給バランスを取るビジネスのことです。

その中心を担うのは、電力の需給バランスを調整する司令塔である「アグリゲーター」と呼ばれる事業者です。アグリゲーターはIoTなどの情報通信技術を駆使して数多くの発電設備や電力ユーザーを束ね、必要に応じて発電量や電力消費量を制御することで、電力系統の安定化に寄与します。

天候などに左右されやすい再生可能エネルギーによる発電も「アグリゲーションビジネス」によって束ねられることで安定化するため、再生可能エネルギーの普及のために重要な役割を果たします。

アグリゲーションビジネスは2種類に分けられる

アグリゲーションビジネスにおいて最も重要なのは、電気の需要と供給を調整することができる設備(=リソース)を束ねることです。一口に「束ねる」と言っても、発電側のリソースを束ねる再エネアグリゲーションと、需要側のリソースを束ねるDER(分散型電源)アグリゲーションの2種類があります。

発電側を束ねる:再エネアグリゲーション

再生可能エネルギーによって発電された電力を束ねることが、再エネアグリゲーションです。脱炭素社会の実現に向け再生可能エネルギーの拡大が推し進められていますが、現在拡大の中心である太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、天候の影響を受け不安定になりやすいという側面も持ちます。
そのような再エネ由来の電気を束ねて安定化させる役割を担うのが、再エネアグリゲーターです。

再エネアグリゲーターは複数の再エネ発電事業者をまとめバランシンググループをつくることで、個々の再エネ電源による発電量の変動をグループ内でならして安定化させます。今後再エネ電源を普及させるうえで、社会全体にとって重要なビジネスといえます。
また、再エネ発電事業者にとっても再エネアグリゲーターと関係をつくることで、発電量が変動しやすい再エネ電気を安定的な価格で買い取ってもらえたり、発電にともなう各種の手続き等を代行してもらえたりと大きなメリットを受けられます。

>再エネアグリゲーションについて詳しくはこちら「再エネ発電事業者を支援するアグリゲーターとは? メリットや専門企業の選び方などを解説!」

電力ユーザー側を束ねる:DERアグリゲーション

一方、電力の需給バランスを需要側のコントロールによって調整していこうとするのが、DER(分散型電源)アグリゲーションです。DERアグリゲーションを担うDERアグリゲーターは、自家発電機や蓄電池などを持つ電力ユーザーを束ねて需要の増減をコントロールします。DERアグリゲーターは以下の二種類に分かれています。

  1. リソースアグリゲーター:電力ユーザーの分散型電源をまとめあげ、制御する事業者。電力ユーザーの分散型電源を集め、コントロールする司令塔のような役割を担う。
  2. アグリゲーションコーディネーター:リソースアグリゲーターに集まった電力をさらに束ねて、電気事業者と取引を行う事業者。

たとえば電力の需要に対し供給が追い付かなくなりそうな場合、送配電事業者はアグリゲーションコーディネーターに需要を抑制するよう指令を出します。それを受けたアグリゲーションコーディネーターはリソースアグリゲーターに、リソースアグリゲーターは電力ユーザーに需要抑制の指令を出します。電力ユーザーが需要抑制に成功すると、それらは需給バランスを調整する力(調整力)として送配電事業者に提供され、送配電事業者から報酬が支払われます。
(上記の例とは逆に、再エネ電源が想定以上に発電されたなどの影響で供給が需要を上回る場合には、蓄電池に電気を貯めるなどの需要を増加させるオペレーションもあります。)

DERアグリゲーションはエネルギーの安定化の面から社会的貢献が大きいだけでなく、参加企業にとっては収益につながるため、ビジネスとしての期待が高まっています。DERを活用した需要側のアグリゲーションビジネスはエネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス(ERAB)と言います。

>ERABについて詳しくはこちら「ERAB」とは?VPPやDRでのリソースアグリゲーターの役割をわかりやすく解説」

アグリゲーションビジネスに参入する方法

アグリゲーションビジネスに参入するには、次に示す3つのパターンがあります。

  1. 【再エネ発電事業者】再エネアグリゲーターと契約し、そのアグリゲーターが管理するバランシンググループに参加する
  2. 【自家発電装置や蓄電池などを持つ電力ユーザー】リソースアグリゲーターと契約しデマンドレスポンスに参加する
  3. 【リソースを持つ電力ユーザーとつながりのある企業】自社がリソースアグリゲーターとしてVPP(仮想発電所)に参加する

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

参入方法1:【再エネ発電事業者】再エネアグリゲーターと契約し、そのアグリゲーターが管理するバランシンググループに参加する

再エネ発電事業者がアグリゲーションビジネスに参入したい場合は、アグリゲーターと契約し、発電した電力を提供します。

再エネアグリゲーターと契約するメリット

メリット1:再エネ発電事業を始めるときのハードルを下げられる
メリット2:インバランスのリスクを減らせる
メリット3:電力の活用先を自分で探さなくてすむ

再エネ発電事業に参入したいものの、発電予測や発電計画、買い手確保などの煩雑な業務が生じることから、二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか。再エネアグリゲーターと契約すれば、これらの業務は再エネアグリゲーターが代行してくれるので負担を軽減しつつ利益を得ることができます。

再エネアグリゲーションのサービスについて具体的に知りたい方は、下記のページをご覧ください。

エナリスの「再生可能エネルギーアグリゲーションサービス」
「インバランスリスクの低減」「発電計画作成などの業務代行」「電力活用者とのコーディネート」などメリットを提供し、発電事業をサポートします。

参入方法2:【自家発電装置や蓄電池などを持つ電力ユーザー】リソースアグリゲーターと契約しデマンドレスポンスに参加する

デマンドレスポンス(DR)とは需要量を制御することにより、需給バランスを安定化させる手法のことです。リソースアグリゲーターと契約して、電力の調達量の調整に応じた場合に報酬を受け取ることができます。

デマンドレスポンスに参加できるのは、自家発電設備や蓄電池、工場の生産ラインなど、電力の調達量を調整できる設備をもつ電力ユーザーです。

デマンドレスポンスに参加するメリット

メリット1:報酬を受け取ることができる
メリット2:自家発電装置や蓄電池を有効活用できる
メリット3:電力使用の見直しにつながる
メリット4:社員に電力・節電への意識を醸成できる
メリット5:エネルギー安定化など社会的な意義がある
メリット6:2023年の改正省エネ法に対応できる

エネルギーの安定化などの「社会への貢献」が「節電」につながり、さらに「収益」を生むという優れた仕組みですね。
一時的に節電対応できる余力のある電力ユーザーにとっては、非常にメリットが大きいと言えます。

>デマンドレスポンスについて詳しくはこちら「デマンドレスポンスとは?参加するメリットや基礎知識、実施までの流れ、注意点をわかりやすく解説します

節電の対応が可能な負荷設備(リソース)や、発電機を保有されているのお客さまは一度エナリスへお問い合わせください。

エナリスの「デマンドレスポンスサービス」
工場の生産設備や発電機・蓄電池などのお客さまの設備を有効利用し、需給ひっ迫時の節電協力を行うことでお客さまの報酬獲得につなげます。
参加手続き等もエナリスが包括的にサポートするので、安心してご参加いただけます。

参入方法3:【リソースを持つ電力ユーザーとつながりを持つ企業】自社がリソースアグリゲーターとしてVPP(仮想発電所)に参加する

VPPとは「仮想発電所(Virtual Power Plant)」のことです。小規模の電源設備をたくさん束ねることで、全体としてひとつの発電所のようなはたらきを持ちます。

VPPの構築に不可欠なのが、ひとつひとつの小規模なリソースを束ねて制御する「リソースアグリゲーター」です。電力需要量が供給量を上回りそうなときには電力ユーザーに節電を、電力が余りそうな時には蓄電池への充電など需要の増加を依頼して、その調整量に応じて電力会社から報酬を得ます。

すでに多数の電力ユーザーとつながっていたり、多数の需要設備を持つ企業は、自社がリソースアグリゲーターになることでアグリゲーションビジネスに参入できます。

自社がリソースアグリゲーターになるメリット

メリット1:自社のつながりを生かして、報酬を得られる
メリット2:企業の社会的評価の向上につながる
メリット3:顧客とのつながりを強化できる

既存のつながりを利用できるだけでなく、提供するサービスの幅が広がることで顧客との関係がさらに強化され、継続的な取引につながる可能性が期待できます。

エナリスの「VPPプラットフォームサービス
分散型電源制御システムを、SaaS提供することによりリソースアグリゲーターの支援を行っています。

なお、アグリゲーター事業者(特定卸供給事業者)は、下記のページで公開されています。
※エナリスは第一号の特定卸供給事業者として登録されています。

>経済産業省 資源エネルギー庁「特定卸供給事業者一覧」

アグリゲーションビジネスはさまざまな企業にメリットがある!

近年注目が集まっている「環境に優しい電気を作る」ことに加え、「環境に優しく電気を使う」ことも脱炭素社会の実現には不可欠です。

そのために重要な役割を果たすのが、今回ご紹介したアグリゲーションビジネス。電力の効率的な利用が収益にもつながるため、業種を問わずさまざまな企業にメリットがあると言えるでしょう。ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

最後に、本記事では「発電側アグリゲーション」と「需要側アグリゲーション」を整理してご説明して来ましたが、エナリスではこれらを一体的に調整することで、お客さまのメリットを最適化しています。
アグリゲーションビジネスにご関心のある企業の皆さまは、ぜひエナリスへお気軽にご相談くださいませ。

アグリゲーションについてのご相談はエナリスまで

Supervisor 監修者
新島 啓司 Keiji Nijima 環境コンサルタント

東京工業大学大学院 総合理工学研究科を修了後、約30年間、環境、再生可能エネルギー、ODAコンサルタント会社に勤務。在職中は自治体の環境施策、環境アセスメント、途上国援助業務の環境分野担当、風力や太陽光発電プロジェクトなど幅広い業務に従事。技術士環境部門(環境保全計画)、建設部門(建設環境)の資格を持つ。また、英語能力(TOEIC満点)を生かし、現在は英語講師としても活躍中。

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